九州の製造業Y社、D氏の事例

目次

【日付】

・相談日 2020年9月18日
・株式取得日 2021年5月10日
・発行会社との和解日 2021年7月30日

【状況】

当社の社主の学生時代からの友人D氏は、夫と共同で出資したY社を創業してから二人三脚で大きくしてきました。ところが、辛苦を共にした夫が亡くなったことで、夫の株式が妻と子(養子)とに分散されました。株式保有比率は、D氏(妻)75:子(養子)25となりました。

D氏夫妻はこどもに恵まれなかったため夫が亡くなる数年前に、遠戚の子を養子に迎えていました。
その養子が後継者として代表取締役社長に就任し、会社経営を行っていましたので、D氏は遠慮して、会社経営には一切関与しませんでした。
しかし、D氏が3分の2以上の議決権を単独保有しているため、「会社の支配権を持つ」立場になっています。

D氏は、老後の心配もあったため、株式を買い取ってほしいとY社に申し出たのですが、手元資金がないとの理由で社長から、額面の500円/株で譲ってほしいと言われました。

D氏としては、Y社設立当時から夫を支え、Y社を大きくしてきたという自負もあるので、自分の株式をY社に譲渡するなら、業績に見合った正当な価格で売却したいという思いがありました。

【買取方法・買取額】

D氏から相談を受け、Y社を調査したところ、長年の業歴により、得意先より品質や納期の面で高い評価が得られていることから、比較的安定した受注が続いていることがわかりました。なんと自己資本比率も90%であり、大きな負債もなく財務は盤石であることがわかりました。簿価純資産は1万円/株です。そこで、当社がD氏所有の株式を全て、3500円/株で買取ることにしました。安定受注とはいえ、利益面は低下傾向であることと、含み損の推測を勘案した価格です。

【お客様の感想】

D氏には、「Y社提示価格の7倍という、本来正当に評価されるべき価値に近い価格で売却でき、長年の苦労が報われました。また、老後の資金もできて安心しました。」と言って喜んでもらえました。

【結果】

その後、株主としてY社に株式譲渡承認請求したところ、会社を解散させられてしまうのではないかとの懸念から、慌てた様子の社長から連絡をいただきました。友人D氏の思い入れのあるY社を清算することなど当然考えていないため、お互いに良好な結果を目指して協議しました。これで株式が100%会社に集中し、安定経営ができるのであればということで、5000円/株にて買取ってもらうことになりました。

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