機械製作所 W社、B氏の事例
機械製作所 W社、B氏の事例
【日付】
・相談日 | 2021年 7月13日 |
・株式取得日 | 2021年11月2日 |
・発行会社との和解日 | 2022年11月25日 |
【状況】
B氏のお父様が創業したW社(同族会社)は、中部地方の企業城下町で大手から安定した受注を続けている機械製作所でした。お父様からの相続により兄弟で株を各々保有し、経営陣として、そろって経営に参画していました。
ところが、B氏(兄)がW社を退いてから数年後に弟が亡くなりました。B氏には娘しかいなかったため、弟の息子が後継者となり、代表取締役社長に就任しました。
B氏の株式保有比率は過半数を超えていたため、後継者である現社長は、伯父が普通決議を単独で可決できることが心配だったようです。これでは、思うように経営ができません。
そんな状況の中、B氏も80歳という高齢により、娘達への相続時に発生する相続税の問題が気になっていたため、税理士を介して、甥の現社長に自分の株式を全て買取ってくれるよう頼んでみました。
ところが、社長は、額面500円/株以外では応じないとの回答でした。
その後も交渉に全く取り合ってもらえないまま数年が過ぎようとしていました。
W社の年商は毎期4億円、経常利益もコンスタントに2000万円ほどあり、自己資本比率76%、簿価純資産も5000円/株ほどある優良企業であるにもかかわらず、額面500円/株でしか買い取らないと言われれば、それ以上交渉は平行線でなすすべがありません。
一方で、税理士に相談したところ、相続税を納めるには1000万円以上の現金を準備しないといけないと言うのです。
現金化できないのに高額な税金を支払わないといけなくなる、ということをずっと心配されていて、2021年夏にご相談を受けました。
【買取方法・買取額】
早速弊社で調査・算定をしましたが、現社長になってからジワジワと少しずつ業績が低下傾向であること、この数年全く取り合ってもらえない事実から交渉の難航が予想されること、等を加味して1650円/株で買い取りました。
【お客様の感想】
W社に買い取ってもらったところで二束三文にしかならず、持っていても買い手を探し出すことは容易ではないため宝の持ち腐れ、それどころか、相続税という高額納税の必要に迫られるだけ。それがW社提示価格の3倍以上のお金になり、長年の心配事から解放された、とB氏には感謝されました。
【結果】
B氏との株式譲渡契約締結後、私たちはW社に譲渡承認請求をし、めでたく株主として承認されました。
その後、現社長になってからの業績低下傾向を深刻視し、業績改善策の株主提案をしました。また、同族会社であるが故に、業績に関係なく配当はずっと出されていなかったため、配当の提案もしましたが、現社長は干渉されたくなかった様子で、承認されてから約1年後の2022年11月に買取の提案を受けました。
こうして弊社の取得価格を上回る価格での合意が成立しました。結果として、B氏はW社提示価格の3倍以上の価格で売却できて相続税の心配も解消、社長も過半数の株式を取得でき経営上の心配はなくなり、弊社も利益を得ることができました。
私の経験上、親族同士だからこそ、過去の経緯やしがらみ等から感情的になったり意固地になったりと、株式の交渉が平行線になってしまうことはとても多いです。その点、弊社のような第三者のほうが交渉も関係もうまくいくことが多いのです。