関東の建設工事X社、C氏の事例


【日付】

・相談日 2020年4月3日
・株式取得日 2020年7月17日
・発行会社との和解日 2021年5月14日
目次

【状況】

先代社長(創業家)の依頼で、関東の建設工事会社X社の役員から代表取締役となったC氏の事例です。

病床にあった先代は、後継者であるはずの息子の能力に疑念があり、C氏に代取就任を依頼しました。その際に先代の株式の一部を譲り受けました。この業界で経験豊かなC氏は新規顧客数も順調に伸ばし、X社の業績は好転していきました。

その後先代が亡くなるやいなや、後継者の息子はC氏を解任し、代表取締役に就任しました。その際、C氏個人で保有していた株式を、持株会の規定に沿った、額面価格(50円/株)で手放すよう通告してきたのです。C氏の功績でX社の業績は大きく伸びたのに正当な評価がされないのは、C氏としてはどうしても納得がいきませんでした。

C氏が懇意にしていた弁護士からのアドバイスもあり、第三者に売却することを考え始めました。その弁護士の紹介により、私の会社でC氏の株式を全て買取ることになりました。

【買取方法・買取額】

X社を調査したところ、年商20億円、コロナの影響がありながらも毎期3億円以上の利益が出ており、自己資本比率80%、現預金7億円の優良企業です。簿価純資産は1000円/株。とは言っても多大な含み益や含み損があれば実態からかけ離れた価格となりますから、当社の得意分野である不動産について重点的に調査し、含み損を加味した価格、320円/株で買い取りました。

【お客様の感想】

C氏は、X社提示価格の6倍という、本来正当に評価されるべき価格に近い現金を得ることができました。

【結果】

株主として当社からX社に譲渡承認請求をしたところ、不承認となりX社が買い取るとの通知を受けました。しかし、持株会の規定の額面50円/株の一点張りで協議は不調に終わり、非訟事件(地裁の株式売買価格決定事件)となりました。裁判でも持株会の規定の主張は続きましたが、それが無理筋という雰囲気になるやいなや、一転してX社の主張は不動産の含み損があるから時価純資産法で450円が妥当だと主張してきました。

X社にしてみれば、簿価純資産法で主張されると大変だという思いだったのかもしれません。しかし、当社にとっては、そのような主張をされることも想定して買取価格を決定しておりましたから、X社の主張通りの価格で合意しました。

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