非上場株式の配当の税金は?配当金にかかる税金の計算方法を解説

非上場株式の配当にかかる税金は?基本式:税額=課税所得*税率

非上場株式の配当金にかかる税金は、上場株式の配当金にかかる税率と異なるので注意が必要です。
非上場株式の配当金は、総合課税・申告不要の2つで税金を算出することができます。選択によっては配当控除を受けることができます。

上場企業のように申告分離課税は選択できないので注意が必要です。

本記事では、非上場株式の配当金にかかる税金の計算方法について詳しく解説します。配当金の受け取り方や確定申告の有無についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

監修税理士の藤澤文太税理士

税理士法人FP総合研究所にてクリニックの税務会計顧問を担当し、デロイト トーマツ税理士法人にて上場会社や上場準備会社の税務申告に従事したあと、日本経営ウィル税理士法人にて認定医療法人制度を含む医療法人の事業承継、病院の税務会計顧問に従事。2023年3月に藤澤文太税理士事務所を設立。現代表。
少数株ドットコムでは、藤原文太税理士事務所の代表税理士として記事の監修を行っている。

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目次

非上場株式の配当金とは?

非上場株式の配当金とは、上場されていない株式を保有している場合に受け取ることができる配当金です。
通常、非上場株式の配当金は金銭で支払われますが、株式の譲渡(自社株買い、または発行会社が指定した買取人の買い取り)や会社が解散した場合などには他の形で支払われる場合もあります。

非上場株式の配当金の金額は、会社の利益と株主の保有株式数によって異なります。配当金の金額は、会社の取締役会が決定しますので一概に算出できるものではありません。

非上場株式の配当控除とは?

非上場株式の配当控除とは、非上場株式の配当所得に対して一定の金額を所得税から控除できる制度です。配当控除の金額は、配当所得の金額に、株式の課税所得金額を加算した金額に一定の割合を乗じて計算します。

配当控除を受けるためには、確定申告が必要です。確定申告の際には、配当所得の金額、株式の課税所得金額、配当控除の割合を記載する必要があります。

配当控除を受けるために確定申告すると、配当所得に対して一定の金額を所得税から控除することができます。これにより、所得税の負担を軽減することができます。

ただし、配当控除を受けるために確定申告すると、国民健康保険料の負担が増加することがあります。また、配当控除の適用を受けるかどうかは、個々の状況によって異なりますので、確定申告の際にはご相談ください。

非上場株式を売却したい方へ。下記の記事をお読みいただければ、非上場株式とは何なのか、売却の方法や売却することのメリット、株価の算定方法から税金の計算方法まで詳しく解説しています。

非上場株式の配当にかかる税金は、総合課税・申告不要の2つ

非上場株式の配当にかかる税金は、総合課税・申告不要の2つ

配当所得にかかる税金は3つの場合分けとなります。

・申告不要制度=20.42%
・総合課税=5%~45%(配当控除により正味税率0~40%)
※非上場株式の配当においては、申告分離課税は選択できません。

非上場株式の配当金にかかる税金の計算式は以下のとおりです。
税額 = 課税所得 × 税率

非上場株式の配当金を得ても、1銘柄につき1回に支払を受ける配当金額が、10万円×配当計算期間の月数÷12により計算した金額以下である場合(少額配当である場合)には確定申告は不要です。
ただし、配当控除を受ける場合は確定申告が必要です。

それぞれ詳しく解説していきます。

申告不要制度

申告不要制度は、非上場株式の配当について、確定申告をせずに税金を納めることができる制度です。
配当金の支払時に、20.42%の税金が源泉徴収されますので、確定申告をせずに済みます。
ただし、配当控除を受けることができません。

総合課税

総合課税は、非上場株式の配当について、他の所得と合わせて確定申告をすることができる制度です。
この制度を選択すると、配当控除を受けることができ、他の所得との損益通算も可能です。
配当所得に対して累進課税が適用されます。

課税される所得金額
税率
控除額
195万円以下
5%
0円
195万円を超え 330万円以下
10%
97,500
330万円を超え 695万円以下
20%
427,500
695万円を超え 900万円以下
23%
636,000
900万円を超え 1,800万円以下
33%
1,536,000
1,800万円を超え 4,000万円以下
40%
2,796,000
4,000万円超
45%
4,796,000

非上場株式の配当でも確定申告した方が有利な場合もある

非上場株式の配当でも確定申告した方が有利な場合もある

少額配当に該当する場合、申告不要制度を選択できますが、課税所得金額が900万円以下の方は確定申告した方がお得です。
申告すると、配当控除を受けることができ、所得税が還付されます。非上場株式の配当は、申告分離課税を選択できず総合課税で申告する必要があります。

課税所得金額が900万円以下の場合、総合課税で申告すると、配当控除により実質所得税等の税率が下がります。
例えば、課税所得金額が695万円超900万円以下の場合、所得税の税率は23%ですが、配当控除により13%に下がります。

900万円をこえてしまうと総合課税の税率が33%で配当控除率が10%なので、正味23%となります。
この時点で源泉徴収税率である20.42%を超えてしまいますので、課税所得金額が900万円を超える場合には申告不要制度を利用した方が良いという結果になります。

上場株式等の配当金についての総合課税選択時の所得税と住民税の正味税率
非上場株式等の配当等については、申告不要、総合課税(配当控除)から選択できます。

課税所得金額 総合課税 配当控除 正味税率 源泉徴収税率 確定申告の判断
所得税 195万円以下 5% 10% 0% 20.42% 確定申告した方がいい
195万円超~330万円以下 10% 10% 0% 20.42%
330万円超~695万円以下 20% 10% 10% 20.42%
695万円超~900万円以下 23% 10% 13% 20.42%
900万円超~1,000万円以下 33% 10% 23% 20.42% 確定申告しないほうがいい
1,000万円超~1,800万円以下 33% 5% 28% 20.42%
1,800万円超~4,000万円以下 40% 5% 35% 20.42%
4,000万円超 45% 5% 40% 20.42%

1000万円以下は10%の配当控除となります。
国税庁:配当控除があるとき(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1250.htm)

非上場株式の配当から課税までの流れ

非上場株式の配当金が支払われると、配当金の金額に応じて配当控除額が計算されます。
課税所得に応じて税金が計算され、税金が源泉徴収される流れを理解しておきましょう。

・非上場会社から配当金が支払われる
・配当金区分の決定
・所得区分の決定
・申告不要制度か総合課税の選択
・税率の決定(源泉徴収税率20.42% 又は、総合課税による税率で計算)
・税金を納付する、又は還付を受ける

非上場株式の配当から税金を計算する時には以下の情報が必要になってきますので、必ず把握しておきましょう。

・配当金区分
・所得区分
・源泉徴収税率
・課税方式
・確定申告方法

非上場株式の配当を得ても確定申告が不要な場合

非上場株式の配当金を得ても、1銘柄につき1回に支払を受ける配当金額が、10万円×配当計算期間の月数÷12により計算した金額以下である場合(少額配当である場合)には確定申告は不要です。
ただし、配当控除を受ける場合は確定申告が必要です。

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